日野瑛太郎『フェイクマッスル』

小説
  • 書籍名:フェイクマッスル
  • 著者名:日野瑛太郎
  • 出版社:講談社
  • 発売日:2024年08月21日
  • ジャンル:小説、サスペンス、ミステリー、推理
  • ページ数:単行本304ページ

この記事を見ていただいているみなさんの半数近くの方は、少なからず筋トレやダイエットを経験したことがあるでしょう。 そしてその成果を出す難しさを実感しているかと思います。 そこから粘り強く続けて理想の体に近づけた人もいれば挫折し諦めた人や、今もなお試行錯誤の最中の人もいるかもしれません。 通常であれば1年以上かかるところを3ヶ月で変われる方法があるのならば知りたいですか? そしてそれがもし、全くデメリットもなく悪いものであるという証拠も見つかっていないものだとしたら、、、

この本を読んだきっかけ

フェイクマッスル、、、

あまりにも興味をそそるタイトルだと思いませんか?

というのも最近聞いた曲に「おね〇〇マッスル」という曲があり、それはもう中毒性の強い曲で、一度聞くと頭から離れなくなるほどの曲でした。

このタイトルを見た時にその曲が脳内再生されると同時に、無性に内容が気になり、よし読もう!と思いました。

あらすじ

文芸編集者を志しながらも、「週刊鶏鳴」に配属された新人記者・松村健太郎(まつむらけんたろう)はとある噂に関しての潜入取材を命じられる。

その噂とは、人気アイドル大峰颯太(おおみねそうた)の筋肉に関する噂だった。大峰はたった3ヶ月のトレーニング期間で驚異的な筋肉をつけ、ボディビル大会で上位入賞を果たしていた。

これに対し、世間ではドーピングを行なっているのではないかという疑惑が浮上。

その真相を探るべく松村はあらゆる方法を用いて筋肉の真実に迫っていくーーー。

作品のテーマや魅力

筋トレとボディビルの世界

作品は、人気アイドルが短期間で驚異的な肉体改造を遂げたという設定から始まり、ボディビル界の裏側や筋トレの魅力を探求します。

人間の成長と変化

当初は部署内でも怪訝にされるほど頼りなく、やる気のなかった主人公が、取材を通じて身体的にも精神的にも成長していく様子が描かれています。

予想外の展開

一見、世間の噂とそれに迫る記者との想像しやすいストーリーに思えますが、単なるドーピング疑惑の真相解明にとどまらず、意外な展開が待ち受けており、読者を引き込みます

印象に残ったポイント

筋トレとボディビルの裏事情

ドーピング疑惑に関する調査という設定のため、筋肉にまつわる情報が多く出てきます。 ジムに通うこともなく、筋トレもまともに続けてこなかった私としては、筋肉に関しての詳しい知識や、描かれるジムでの風景、交流などがどれも新鮮な感覚で読み進めることができました。

さらにはボディビル界やドーピングに関しては無知中の無知だったので、「こんな仕組みなんだ!」「そんな効果もあるのか」といった思わぬところからの刺激になりました。

裏を描く展開

読者に対して、予想のできる仕掛けや展開が各所に散りばめられており、最初こそ「まあそうなるか」といった感覚で進んでいたのですが、後半になるにつれて深い謎や意表をつく展開が見られ後半にかけて没頭できるような作品でした。

おわりに

フェイクマッスルとタイトルにあるように、フェイクとマッスルを主軸に進む展開ですが、後半のドキドキ感や周囲で進むサイドストーリーなどが物語の幅を利かせていて、マッスルのような重量感はありつつも脳筋ではないストーリー展開が非常に面白かったです!

書店で見かけた際はぜひ脳内で曲を再生しつつ購入してみてはいかがでしょうか!!

【ネタバレあり】推しシーン

さらっとすごいことを、、、

推しシーンは大峰颯太のストーカーが貴島のスマホにスパイウェアを仕込むところです!

ストーカーとはいえ、一般人がさらっと他人のスマホにスパイウェアを仕込むという展開にはかなり驚きました。しかも周囲に人がたくさんいるお店で、向かい合っているなか堂々と電話で借りるふりをして仕込むという大胆さ。不法侵入もありすでに犯罪者ですが、その度胸や思いつきには狂気じみたものを感じました!
生粋の犯罪者ですね、、、

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